中野明

知識は誰にでも修得できる。年齢も性別も国籍も関係ない。その結果、知識社会は、今まで以上に競争の激しい社会、しかもグローバル規模での競争が激化する社会になると予想されよう。さらに、知識には持ち運びが自由という特徴がある。したがって、組織は必要な知識をいかに発掘するのかと同様に、その知識をいかにつなぎ止めるかが、今後のマネジメントの重要課題になる。 加えて、組織は本当に必要な知識の獲得のみに集中し、それ以外は組織の外にある資源を活用する傾向が強くなる。アウトソーシングの役割が高まっているのがその証拠だ。詳細は省くが、リストラクチュアリング、リエンジニアリング、コア・コンピタンスというビジネス理論が相次いで誕生したのも、知識社会の浸透を物語る現象といえよう。 さらに、知識を持つ者の重要性が高まることは、そうした人に対して多くの報酬が支払われることを意味する。逆に持たざる者は低い報酬に甘んじなければならない。やがてやって来る本格的知識社会では、知識を持つ者と持たざる者の間に、大きな格差が生まれることは予想に難くない。